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ちょっと未来のクリニック|小児科の移転とDX支援事例
ソフィアリアル

“机すら入らない!?” 設計図から始まった、逆転の未来化構造クリニック

設計図を見ていて、ふと目に留まったのが「事務長室」
 
「畳、たった1畳分....!?」
 
1畳分だけでは伝わりづらいかもしれませんが、体感的には「漫画喫茶の個室」くらいの広さです。
当然ながら、事務机は入りません。椅子を引くスペースもなく、人が入る余地すらギリギリ。
 
「これは部屋じゃない、“小いさな空間の気持ち”だな」と思ったその時から、発想を転換しました。

このスペースを「サーバールームにして、建物の中枢にしてしまおう」、と。

冷却と鍵付き、配線を集約し、見えないところで支える“未来仕込み”が始まりました。

プロジェクト概要

プロジェクト名: 小児科クリニック 新築移転プロジェクト支援
支援範囲: 設備・通信インフラ再設計、運用構造整備、業務帳票システム導入、人事契約整備
担当フェーズ: 移転直前〜新施設開設後の運用立ち上げ(事務長職を兼務)

特筆ポイント:

・ 狭すぎる1畳の事務長室をサーバー室に転用した構造の工夫
・ ちょっと未来な高速通信に対応した将来対応の院内・通信インフラ整備
 - LANカテゴリ7A(最大 40Gbps(40ギガビット/秒))
・ 現場のITリテラシーに即したシステム導入
・ 月末業務の簡略化と紙からの脱却
・ 小規模スペースでも“未来を仕込む”設計思想

1|将来を見据えた設備設計

このクリニックは新築移転のタイミングでしたが、
「建物が新しい=未来対応」ではありません。
あとから変えられない部分──
それが、床下や壁の中、天井裏の配線や設備です。


それが、床下や壁の中、天井裏の配線や設備です。
そこで、カテゴリ7A40GB(理論値最大450Gbps相当)の通信配線を採用。
「そこまで必要ない」と言われるほどのスペックを、あえて選びました。
将来、当たり前の通信量が今とは桁違いになっていても、慌てず使い続けられる。
“今は過剰”が“未来ではちょうどいい”、そういう判断でした。

 
通信インフラ設計図の概念図

・ Cat7aは、医療用8K内視鏡映像や高精細な検査画像のリアルタイム転送にも使えるレベル
・ 4K映画1本(20GB)→ わずか4秒で送信
・ 高解像度画像(100MB)なら → 1枚あたり0.02秒以下
「Blu-ray(25GB)を6秒で送る」と例えると、よりわかりやすいかもしれません。

2|診察室とサーバーの関係再設計

サーバーは例の1畳スペースへ。
診察室には最低限のPCを残し、本体やデータのやりとりはすべてサーバー室に集約。

・PCをたくさん並べない
・配線を見せない
・機材の掃除・保守がしやすい
・でもしっかり“裏でつながっている”

見た目はシンプル、でも中身はしっかり。
“現場と未来”のバランスを、構造からデザインしています。

 
診察室とサーバーの接続イメージ

・ Cat7aは、医療用8K内視鏡映像や高精細な検査画像のリアルタイム転送にも使えるレベル
・ 4K映画1本(20GB)→ わずか4秒で送信
・ 高解像度画像(100MB)なら → 1枚あたり0.02秒以下
「Blu-ray(25GB)を6秒で送る」と例えると、よりわかりやすいかもしれません。

3|業務構造も“紙と人”に頼りすぎないように

このクリニックには病児保育や発達支援施設も併設されています。
行政報告や入札対応など、業務は多岐に渡ります。
ただ、現場の保育士やスタッフにはITに不慣れな人も多く、
「Excelって初めてです」「PCの電源って…どこ?」という声もありました。
だからこそ、“覚えてもらう”ではなく“迷わず使える”設計へ

事務長が考えた台帳ベースの請求管理ツールを導入し、

・書けば記録
・押せば集計
・印刷すれば報告書
・ボタン一発PDF書類

誰でも操作でき、自然に業務が回る形に落とし込んでいきます。

 
紙→DX書類→印刷PDF図

・ 紙書類は、書いたら即座にPCへ入力
・ デジタル化されたレイアウト、フォーマットで簡単管理
・ 印刷レイアウトも固定化されて、きれいに印刷(また紙だけど)
・更にPDFにするのもカンタン
医療・保育など行政が絡む事業は、紙だらけです。

4|“未来を設計する”とは、人と組織にも及ぶ話

設備だけでは“現場”は回りません。
同時に、組織や契約の整備も進めていきました。

・ 人の配置の見直し
・ 雇用契約の再整備
・ 職務分担の明確化

 
結果、「ようやく、アナログだったクリニックが“ちゃんと動くようになった”って感じる!」
と院長が少し肩の力を抜いたように笑ってくれたことが、
私たちが整えた仕組みと流れが、現場にフィットした証でした。

5|未来は“静かに、当たり前のように”やってくる

このプロジェクトで実現したのは、派手なDXではありません。
でも、確実に「あとで困らない」構造を用意したという実績です。
ちょっと未来を、いまのうちに仕込んでおく。
それが私たちの設計スタイルであり、実行力です。

 

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