採用で出会ったキャラクター
入社後もずっとそばにいる。
応募前は、人事には聞きにくいことを聞ける相手。入社後は、小さな迷いを打ち明けられる相手。前へ進みたいときは、次の一歩を一緒に考える伴走者。
会話AIで、ひとりのキャラクターとの関係そのものを人事体験へ。その可能性を、R&Dプロトタイプとして試作しました。
会社を知る入口だったキャラクターを、働き始めてからも頼れる存在へ。
採用の現場では、会社紹介、募集要項、社員インタビュー、説明会など、すでに多くの情報が用意されています。しかし候補者が知りたいのは、情報だけではありません。
「自分はここでやっていけるのか」「実際にはどんな人がいるのか」「こういうことを聞いたら印象が悪いだろうか」。企業と候補者の間には、情報量だけでは埋まらない心理的な距離があります。
そこで着目したのが、キャラクターです。
企業や採用ブランドを象徴するキャラクターに、固有の人格、話し方、価値観、振る舞いを持たせる。説明するためのマスコットではなく、その会社らしさをまとって人と対話するアンバサダーとして設計します。
さらに、そのキャラクターとの関係を採用時だけで終わらせません。本人が入社した後は企業内アプリへ引き継ぎ、同じキャラクターが、社内での疑問、不安、挑戦にも継続して伴走する。
キャラクターとの関係そのものを、人事体験のインターフェースとして使えるかを検証しました。
AIと話すのではなく、「あのキャラクター」と話す。
今回の焦点は、採用チャットボットを高機能にすることではありません。同じ回答でも、誰が、どんな人格で、どんな関係性から返すのかによって、受け取られ方は変わります。
特にZ世代を含む若い候補者や社員が、人事担当者や上司には直接聞きにくい疑問や違和感を抱える場面を想定しました。
そこで、キャラクターを単なる外見ではなく、企業と本人の間に存在する一貫した対話人格として設計します。
いつもの表情。いつもの話し方。これまでの対話を踏まえた応答。
「AIに相談する」のではなく、「このキャラクターに相談する」という関係をつくることが今回の中心です。

本音を引き出すのは、高性能なAIだけではない。
自由に質問できる会話AIをつくること自体は、技術的には実現できます。しかし人事領域では、「何を答えられるか」だけでは十分ではありません。
候補者や社員自身が、話しかけようと思えるか。少し言いづらいことも、途中までしか整理できていないことも、まず言葉にしてみようと思えるか。
そこで、キャラクターの表情、口調、距離感、リアクション、継続した対話文脈を組み合わせ、話すこと自体の心理的な入口を設計することを重視しました。
キャラクターだから必ず本音が出る、とは考えていません。
一方で、親しみやすく、評価者ではない一貫した人格との関係をつくることで、人には直接話しにくい疑問や違和感を、より早い段階で言葉にしやすくできるのではないか。
その仮説を検証します。
評価しない。決めつけない。でも、ひとりにはしない。
このキャラクターは、候補者を選考しません。社員を評価しません。「辞めない方がいい」と引き留めることもしません。
本人の話を受け止め、考えを整理し、必要な情報や選択肢を示し、必要であれば本人の意思で人へつなぐ。
一方、前へ進みたい社員には、「次は何を目指したい?」「今日の仕事で何がうまくいった?」「次は何を変えてみる?」と、同じキャラクターが継続して伴走します。
つらいときだけ現れるAIではなく、普段から関係があるキャラクターだからこそ、変化が起きたときにも話しかけられる。
その関係性までを体験として設計しました。
キャラクターの人格と関係性を、人事体験として実装する。
今回の目的は、人事向けAIチャットを一つつくることではありません。
キャラクターの人格設計、採用時の対話、入社後の企業内アプリ、CAREとGROWの伴走、本人同意とプライバシーまでをつなぎ、採用前から入社後まで続く一つのキャラクター体験として成立するかをR&Dプロトタイプで確かめました。

企業らしさを、キャラクターの人格へ落とし込む。
キャラクターの見た目をつくるだけではありません。
企業の価値観、カルチャー、採用メッセージ、社員像を整理し、「このキャラクターならどう答えるか」を定義します。
親しみやすいだけでも、企業説明を読み上げるだけでもない。ユーモアの程度、言葉遣い、共感の示し方、答えられないときの振る舞いまで設計し、企業らしさと相談しやすさを両立する一つの人格へ落とし込みました。
既存キャラクターがある場合は、その世界観や設定を活かす。キャラクターがまだ存在しない場合は、人事上の役割や利用体験からキャラクターそのものを企画・創作し、IPとして育てていくことも想定しています。

採用で始まった関係を、社員アプリへ引き継ぐ。
採用サイトや説明会でキャラクターと話した候補者が入社した場合、本人の承認を得て、同じキャラクターとの関係を企業内スマートフォンアプリへ引き継ぎます。
会社に入った途端、別のFAQボットへ変わるのではありません。
採用時に出会ったあのキャラクターが、入社準備、オンボーディング、社内制度、仕事の進め方、日々の疑問にも応える。
利用者のステージに応じて参照できる情報や機能は切り替えながら、キャラクターの人格と、それまでにつくられた関係は切らさない。
企業との接点が変わっても、同じ相手がそばにいるという連続性を試作しました。

CAREとGROW。二つの伴走を、一人のキャラクターへ。
入社後は、キャラクターに二つの伴走を持たせました。
CAREでは、小さな違和感や不安を受け止めます。
「最近少しうまくいかない」「上司にどう話せばいいかわからない」「この仕事は自分に合っているのか」といった、まだ大きな結論にはなっていない段階から話し、考えを整理する。
利用できる制度や選択肢を示し、必要な場合には、本人の意思と承認を前提に、人事、上司、相談窓口などへつなぎます。
GROWでは、前向きな挑戦を支えます。
目標を整理し、次の行動へ分解する。仕事を振り返り、何がうまくいったのか、次に何を変えるのかを一緒に考える。
本人が話しかけたときだけでなく、同意した範囲では、節目や状況に応じてキャラクター側から振り返りやチェックインを促す体験も構想しました。
どちらも別々のAIではありません。
普段から付き合ってきた同じキャラクターが、その人の状態に応じて伴走の仕方を変える。
ここに、キャラクターを使う意味があります。
この事例で組んだ専門性とフェーズ
採用広報だけでも、AIチャットの開発だけでもありません。企業らしさをキャラクターの人格へ落とし込み、候補者との出会いから、入社後の相談・成長まで続く人事体験として、会話AI、企業内アプリ、情報連携、本人同意とプライバシーまでを横断して構想・試作しました。
採用・オンボーディング・定着・成長支援をつなぐ体験構想、キャラクター企画・人格設計、既存IPの活用またはキャラクター創作、採用情報・社内情報との接続、会話AI、候補者から社員への体験継承、企業内スマートフォンアプリ、CARE / GROWの対話設計、本人同意、個別対話の扱いとプライバシー、人事・上司・相談窓口への接続、継続利用を想定したプロトタイプ検証までを横断した範囲です。
キャラクターが、会社と人の関係をつなぐ存在へ。
今回のR&Dで検証したのは、採用AIの性能だけではありません。
企業との最初の接点から、働き始めた後まで、同じキャラクターとの関係を継続できるか。
採用時には、会社を理解するための相手として。入社後には、ちょっとした疑問や違和感を話す相手として。前へ進みたいときには、目標や次の行動を一緒に考える相手として。
キャラクターを「採用広報に使うIP」から、「企業と働く人との関係そのものに伴走するパートナー」へ拡張する可能性を、R&Dプロトタイプとして具体化しました。

キャラクターを、人と事業の関係に伴走する存在へ。
キャラクターの活用は、広告や案内だけに限りません。 採用、オンボーディング、社員支援、接客、案内など、人と企業の関係が続く場所にキャラクターを置き、人格、会話、AI、情報、アプリ、サービスまで横断して体験を具体化します。 既存のキャラクター/IPを活用する場合も、まだキャラクターが存在せず、その役割や世界観を企画・創作するところから始める場合も対応できます。 キャラクターをつくること自体を目的にせず、誰と、どんな関係をつくり、事業の中でどのような役割を持たせるのか。その設計からプロトタイプへつなげます。
